100マイルトレイルレースの完走戦略
160km(100マイル)という極限の距離を、大きなトラブルなく完走するための緻密な戦略をまとめます。
1. ペーシング:最初の50kmを「散歩」にする
100マイルで最も多い失敗は前半のスピードの出しすぎです。
- 徹底した温存: 最初の50kmは「こんなにゆっくりでいいのか?」と不安になるレベルで抑えます。心拍数をZone 2以下に保ち、筋肉に乳酸を溜めないことが鉄則です。
- 歩く勇気: 走れるような緩い登りでも、前半は積極的に歩き(パワーハイキング)、後半に脚を残します。
- 「一定」よりも「エフォート」: ペースではなく、常に一定の「努力感」で動き続けることを意識します。
2. 胃腸のマネジメント(Diverting Blood Flow)
100マイルレースの最大のリタイア原因は胃腸トラブルです。
- 定期的な補給: 「お腹が空く前に食べる」を徹底。1時間あたり200〜300kcalを目安にします。
- 味のバリエーション: 甘いジェル、塩気のある固形物、温かいスープなど、味覚の飽き対策を行います。
- 冷却: 体温が上がりすぎると内臓の血流が低下するため、首筋を冷やすなどのオーバーヒート対策が胃腸の保護に繋がります。
3. 夜間パートと眠気対策
30時間を超えるレースでは必ず夜を越えることになります。
- 高高度ライト: 疲労が溜まる夜間こそ、路面の凹凸をはっきり捉えるための明るいライトが必要です。
- カフェインのタイミング: 本当に眠くなる深夜から夜明け前にかけて計画的に摂取します。
- パワーナップ(戦略的仮眠): 限界時はエイドで10〜15分だけ目をつむります。これだけで脳がリセットされます。
4. エイドステーションでの滞在最小化
「エイドでの1分はコース上の1分」ですが、積み重なると数時間の差になります。
- エイドワークの事前シミュレーション: エイドに着く前に「何を補充し何を食べるか」を決めておきます。
- 座らない: 座り込むと立ち上がるのが困難になります。基本は立ったまま作業を済ませます。
5. メンタル:距離を小さく分ける
160kmという数字を一度に考えると脳は拒絶反応を示します。
- 「エイドからエイドへ」: 次の数キロ、次のエイドのことだけを考えます。
- なぜ走っているのか(Why)を再確認: 最も苦しい時、自分を動かすのは技術ではなく「完走したい理由」という精神的な動機です。
2026年のアップデート
最新の100マイル対策では、**「データ管理(TSS/CTL)」による事前の疲労抜きと、「メンタル・マインドフルネス」**による苦痛との共存技術が、完走率向上の鍵として重視されています。
関連リンク
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