ランニングの生理学的指標:AeTとLT
効率的なトレーニングを行うためには、自分の身体の中で何が起きているかを知る指標である「AeT」と「LT」を理解することが重要です。
1. AeT(有酸素性作業閾値)
AeT (Aerobic Threshold) は、トレーニングの**「土台」**となる強度です。
- 状態: 主に脂肪をエネルギーとして燃焼している状態。
- 感覚: 非常におだやかで、鼻呼吸だけで問題なく走り続けられる。会話も余裕。
- メリット: 毛細血管を発達させ、糖を使わずに脂肪をエネルギーにする効率(ファットアダプテーション)を高めます。
- 代表的な練習: [[練習方法/LSD|LSD]]、ジョグ(Eペース)。
2. LT(乳酸性作業閾値)
LT (Lactate Threshold) は、マラソンの**「粘り」**を決める強度です。
- 状態: 血中の乳酸が処理能力を超えて急激に溜まり始める境界線。
- 感覚: 「楽ではないが、1時間は維持できる」くらいのキツさ。
- メリット: LT値を高める(右側にシフトさせる)ことで、より速いペースを長時間、楽に維持できるようになります。
- 代表的な練習: [[練習方法/閾値走|閾値走]](Tペース)。
3. AeTとLTの違い(まとめ)
| 指標 | 別名 | 乳酸濃度 | 主な燃料 | 持続時間 | 練習メニュー |
|---|---|---|---|---|---|
| AeT | 有酸素閾値 | ~2.0mmol/L | 脂肪 | 数時間以上 | LSD, ジョグ |
| LT | 乳酸閾値 / AT | ~4.0mmol/L | 糖質 | 約1時間 | 閾値走 |
4. トレーニングへの活用
- ベース作り (AeT下): 初心者やオフシーズンは、AeT以下の運動を増やすことで、疲れにくい身体を作ります。
- レース対策 (LT付近): サブ4やサブ3を目指すなら、週に1〜2回、LT強度の刺激を入れることで「巡航速度」を引き上げます。
出典: Strider Performance, Runners High
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