フルマラソン攻略の深掘り
42.195kmを最後まで走りきり、自己ベストを更新するための科学的なアプローチをまとめます。
1. ペーシング戦略:ネガティブスプリットの正解
現代のマラソンにおいて、最も推奨されるのは**「ネガティブスプリット(後半を前半より速く走る)」**です。
- 0-10km(温存): 目標ペースよりkmあたり5〜10秒遅く入り、心拍数とエネルギーを温存します。
- 10-30km(巡航): 目標ペースを維持。スーパーシューズの反発を活かし、リラックスしたフォームを継続します。
- 30km以降(勝負): 多くのランナーが失速するエリアです。ここでペースを維持、またはわずかに上げることで、順位とタイムを大幅に稼ぎます。
2. カーボローディングと当日の補給計画
「30kmの壁」の正体は筋肉内のグリコーゲン(糖分)枯渇です。
- 36-48時間前からの積み込み: 体重1kgあたり10-12gの炭水化物を摂取。食物繊維と脂質を控え、徹底的に糖質を優先します。
- レース中の補給: 1時間あたり30-60g(上級者は90g近く)の炭水化物を摂取。ジェルは「喉が渇く前、お腹が空く前」に定期摂取(例:5km、15km、25km、35km)します。
- カフェインと電解質: カフェインは集中力を高めるため30km付近で。電解質は足攣り防止のため、給水ごとに意識します。
3. テーパリング(調整)の科学
練習量を落とすことで、毛細血管を修復し、グリコーゲン貯蔵量を最大化します。
- 3週間前: 走行距離を20%削減。
- 2週間前: 走行距離を50%削減。強度は維持し、短い距離の刺激(例:1km×3本)を入れます。
- 1週間前: 徹底的に疲労を抜きます。睡眠時間を普段より1時間増やします。
4. スーパーシューズのポテンシャルを引き出す
2026年現在のスーパーシューズは「反発」だけでなく「脚の保護」が重要です。
- フォームの適合: シューズの特性(フォアフット向け、ミッドフット向け等)に合わせて、自らの着地ポイントを微調整します。
- 練習での試走: 本番用シューズで少なくとも20km以上のロング走を1〜2回行い、靴擦れや足裏の熱を持ちやすさを確認しておきます。
5. メンタルタフネスと「30kmの壁」の突破
- マイルストーン分割: 42kmを「5km×8回+2.195km」と捉え、目の前の5kmに集中します。
- ポジティブ・セルフ・トーク: 「まだ20kmもある」ではなく「もう20kmも終わった、ここからが練習の成果を見せる場だ」と言い聞かせます。
- 脳の保護: 脳が「これ以上は危険」と判断してブレーキをかけるのが疲労の正体です。笑顔を作る(表情筋を緩める)ことで、脳の警戒を解くテクニックも有効です。
関連リンク
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